【短編小説】青い髪の少年

夏真っ盛りの気温の中。

私は森の中を歩いていた。

この先にある先祖代々の墓へと行くためだ。

暑さも、木陰のおかげで随分マシだ。

葉の隙間から溢れる光がキラキラと揺らめく。

ふと、前の方を見ると

この世界では普段見かけない髪色をした人の背中が見えた。

(あれ、こんなところに何の用だろう?)

一応、頭の中で確認しておくが

この辺一帯は私の私有地だ。

念のため、声をかけておこうと

足早にその人に近づくと

私が声をかける前にその人はさっと振り向いた。

私は一瞬息を飲んだ。

空を写したような色のシャツ。

空気に溶けそうな青色の髪。

そしてその瞳も青色だった。

「何?」

その人は澄んだ声で言った。

まだ少年のようであった。

「あの・・・この辺一帯は私有地で・・・」

私は狼狽ながら返す。

「・・・ああ」

その少年はゆっくりと、思い出すように呟いた。

「それは悪かったね。」

少年はその一言だけ残し、煙のように消えてしまった。

「???!!!!?」

私は何が起こったのかわからなかった。

人が一瞬で消えるなんて有り得ない。

とりあえず水筒の水を飲み、落ち着きを取り戻そうとする。

ぼーっとする頭で考えた。

そういえば、この私有地の先には

古い神社があったな・・・。

生まれて初めて、ありえないような体験をし

ひょっとしたら神様だったのかなぁなどと考える。

「まぁ考えても仕方のないこと・・・。」

そう独り言をこぼした私は、当初の目的通り墓を目指す。

ちょうど石段に差し掛かった辺り、目的地はもうすぐだ。

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